小児歯科

小児歯科治療について

当院では、むし歯などの小児歯科治療はもちろん、マイナス1才からの予防歯科も行っております。たとえば、妊婦様の口腔内ケアや、乳児期のお子様に必要な口腔内ケア・口腔内育成があります。その際は、ご両親のご相談にじっくりと耳を傾け、そのうえで診療方針の説明やアドバイスなどを行っております。

生活習慣指導について

当院では、お子様の生活習慣の指導も行っております。

 

食べる機能は、生涯にわたって使う、とても大切なものです。特に乳児期は、反射的な哺乳の動きと口の機能発達を経て、手と口を一緒に動かすことを学習していく大切な期間でもあります。それを支え、身体を正しく発育させるには、正しいサポートが必要です。

 

当院では、頭部を背骨でしっかりと支え、顎の安定感が生まれる「体幹」の育成法も、ご説明させていただいております。

生活習慣指導の流れ

首すわりまでの抱っことねんね

  • 赤ちゃんが楽な姿勢で抱っこされているか?
  • 授乳姿勢がひとつの方向だけに偏っていないか?
  • 仰向け寝の場合、いつも同じ向きで寝かせていないか?
  • MW型姿勢を基本として、赤ちゃんもご両親も楽な姿勢で抱っこするようにしましょう。
  • できるだけ左右均等に顎を使うよう、授乳姿勢に気を付けましょう。
  • 睡眠時の姿勢に偏りが出ないよう、乳児枕の高さや位置を工夫するようにしましょう。
  • 添い寝する際の定位置化を避け、片側の顎だけに負担がかからないようにしましょう。

「MW型姿勢」とは新生児がとる屈曲姿勢のことで、足がM型・腕がW型にみられることから、そのように呼ばれています。

ハイハイとたっち

  • 遊ばせる際に腹ばいにしているか?
  • 早く立たせようとしたり、歩かせようとしたりしていないか?
  • 歩行器の使用はないか?
  • 目の届く範囲では、早い時期から腹ばい姿勢をとらせ、目を離す際には、必ず仰向け寝に戻すように意識しましょう。
  • 手足の感覚機能の発達を動かすために、手足へのタッチを行いましょう。

哺乳・離乳食指導の流れ

口腔内検査

哺乳期
舌飲み期
(0~4か月ごろ)
舌小帯短縮(強直)症の有無
口蓋裂はないか
口唇食べ期
ゴックン期
(5~6か月ごろ)
広い半円形の口蓋に成長しているか
口唇反射、吸すう反射、咬反射の消失を確認
舌食べ期
モグモグ期
(7~8か月ごろ)
前歯が生えはじめる
口唇咬みの出現に注意
歯ぐき食べ期
カミカミ期
(9~11か月ごろ)
上下前歯が萌出する
顎位の偏位に注意
手づかみ食べ期
(1~2才ごろ)
上下前歯が生えそろい、第一臼歯が生えはじめる
不正咬合の発現に注意
歯食べ期
カチカチ期
(2~3才ごろ)
第2臼歯が噛みあう
口蓋が浅くなり、成長空隙がある
口唇は閉鎖し、上下口唇が薄くなる

舌の動き

哺乳期
舌飲み期
(0~4か月ごろ)
前後運動のみ
口唇食べ期
ゴックン期
(5~6か月ごろ)
前後運動+上下運動が加わる
舌食べ期
モグモグ期
(7~8か月ごろ)
前後運動+上下運動が可能
歯ぐき食べ期
カミカミ期
(9~11か月ごろ)
前後運動+上下運動+左右運動
手づかみ食べ期
(1~2才ごろ)
前後運動+上下運動+左右運動
歯食べ期
カチカチ期
(2~3才ごろ)
さらに左右運動が可能

食べ物の形

哺乳期
舌飲み期
(0~4か月ごろ)
母乳
口唇食べ期
ゴックン期
(5~6か月ごろ)
粘調度が均一
トロトロ状
べたべた状
舌食べ期
モグモグ期
(7~8か月ごろ)
豆腐、プリン状のもの水分にはとろみをつける
歯ぐき食べ期
カミカミ期
(9~11か月ごろ)
歯ぐきでつぶせる
前歯でかみきれる
手づかみ食べ期
(1~2才ごろ)
前歯でかみきる
奥歯でつぶせる
歯食べ期
カチカチ期
(2~3才ごろ)
小さいもの、大きいものなど色々なもの

食べ方

哺乳期
舌飲み期
(0~4か月ごろ)
母乳の飲ませ方
×浅くしかくわえてない
◎しっかり深く乳房をとらえている

口唇食べ期

ゴックン期

(5~6か月ごろ)

滑らかに潰した物を口を閉じてスプーンからゴクンと飲み込める
舌食べ期
モグモグ期
(7~8か月ごろ)
舌で押しつぶし口をモグモグさせて食べられる
歯ぐき食べ期
カミカミ期
(9~11か月ごろ)
唇を閉じて動かして「カミカミ」できる
歯ぐきで押しつぶして食べられる
手づかみ食べ期
(1~2才ごろ)
乳臼歯が萌出するので咀嚼の練習
食べることに興味をもつ
歯食べ期
カチカチ期
(2~3才ごろ)
歯の萌出にしたがって咀嚼機能が完成
奥歯でしっかり噛むこと

チェックポイント

哺乳期
舌飲み期
(0~4か月ごろ)
  • しっかり開けて深く乳房をとらえているか
  • 浅くわえになってないか
  • 乳腺炎になってないか
  • 助産師から継続的な授乳指導を受けているか
口唇食べ期
ゴックン期
(5~6か月ごろ)
  • スプーンを口の中に押し込んでないか
  • 流し込みをしないように、一口ずつ「ゴックン」を待って、次の一口を入れているか
舌食べ期
モグモグ期
(7~8か月ごろ)
  • 口腔内の状態に合った離乳食の進め方をしているか
  • 一口量は適切か
  • 丸飲みになっていないか
  • 歯列不正につながる悪習癖が出現していないか
歯ぐき食べ期
カミカミ期
(9~11か月ごろ)
手づかみ食べ期
(1~2才ごろ)
  • 口を閉じて食べているか
  • 左右均等に顎、頬が動いているか
  • 足をつけ、姿勢よく食べているか
歯食べ期
カチカチ期
(2~3才ごろ)

アドバイス

哺乳期
舌飲み期
(0~4か月ごろ)
  • 助産師に授乳指導を受けるようにしましょう。
  • 赤ちゃんが大きな口を開けて乳房をとらえられるようにしましょう
  • 舌小帯の短縮が著しい場合は、専門機関に相談しましょう。
口唇食べ期
ゴックン期
(5~6か月ごろ)
  • 母乳を十分に与えましょう。母乳を与えている時は、赤ちゃんとの対話の時間です。
  • 下口唇にスプーンをおいて上口唇ではさむまで待ちましょう。
  • 指しゃぶり・おもちゃなめは口の感覚・舌の機能を発達させるために必要です。なめても安全なものをそろえましょう。
舌食べ期
モグモグ期
(7~8か月ごろ)
  • 離乳食期は正しく食べる方法を学ぶ時期であると理解させる
  • 手づかみ食べを大切にする
  • 食べ物を唇でとらえ、前歯で咬み切ることで一口量を覚えさせる
  • 口を閉じさせ、鼻呼吸を促します
歯ぐき食べ期
カミカミ期
(9~11か月ごろ)
手づかみ食べ期
(1~2才ごろ)
  • 前歯で咬み切り奥歯ですり潰すという、歯を使った咀嚼を十分にさせる
  • 楽しい雰囲気の中で食事をさせる
  • 成長に合わせて食事テーブルを調節し、足台を用意して体幹を安定させ、正面を向いて食べさせる
  • スナック菓子やジュース等のしょ糖の甘味は、まだ与えないようにする
歯食べ期
カチカチ期
(2~3才ごろ)

お子様の診療

当院でのお子様の診察・治療は、むし歯の予防を中心に行っております。むし歯予防には、大きく分けて、「シーラント」と「フッ素塗布」の2種類の方法があります。

シーラント

むし歯になりやすい奥歯の溝の部分を、「シーラント」と呼ばれるプラスチックの歯科材料で埋める、むし歯の予防法です。すき間を埋めることにより、食べかすの詰まりや歯の磨き残しがなくなり、むし歯を予防することができます。

フッ素塗布

フッ素を歯に直接塗布する方法です。フッ素は、歯の表面にあるエナメル質を強化し、むし歯になりにくい歯をつくります。また、フッ素を塗布することで酸の生成を防ぎ、歯を溶けにくくする効果が期待できます。

お子様のホームケア

むし歯の予防には、ご自宅でのケアが欠かせません。毎食後や就寝前には、歯磨きをする癖をつけることが大切です。お子様用の歯ブラシや歯磨き剤を使うなど、楽しくブラッシングができる工夫をすると良いでしょう。

 

お子様だけでは満足な磨き方ができない場合には、ご両親がお子様のお口の中をチェックし、仕上げ磨きをしてあげることも、大切なホームケアのひとつです。

治療の前に、ご両親へお願いしていること

歯が悪くなってから来院される方が多くいらっしゃいますが、歯科医院の本来の役割は、むし歯の治療をするところではなく、「お口を健康に保つところ」です。歯が悪くなってから来院するのではなく、「歯が健康なときに、院長や衛生士とお話する」くらいの気軽な気持ちでお越しいただければと考えています。

 

歯科医院にいらっしゃる前に、「歯医者さんに行くよ」と、ご両親からお子様に伝えていただくことも大切です。「歯医者さんは怖くない」という印象を与え、緊張せずにご来院いただけると幸いです。

日本学校歯科医会について

当院長は、2017年度より、愛知県歯科医師からの推薦を受け、日本学校歯科医会の理事に拝命されました。

 

また、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2017」では、「全身の健康はまずお口の健康から」であり、生涯を通じた歯科健診を充実させる、と明記されました。

 

学校歯科医の役割は、「むし歯を見つけること」だけではなく、歯や口腔に関わる専門家として、「お口の健康を通して、子どもたちに生き抜く力を身につけさせること」、さらに「生涯にわたって健康を保持・増進できるような生活習慣や食育、安全に配慮した指導や助言を行っていくことである」と考えています。

 

歯科医という専門職の立場から、学校健診・各種事業・日常診療を土台として、発育段階にある園児・児童・生徒と向き合ってまいります。

 

食や心、学校組織、虐待、家庭崩壊といった、さまざまな課題を抱えた現代。特に次世代を担う子どもたちへの歯科保健活動、また歯科から始まる健康教育を、日本学校歯科医会で学び、推進していく所存です。

学校歯科医として行っていること
  • 学校健康診断および事後措置
  • 健康相談
  • 保険教育
  • 学校保健委員会・地域学校保健委員会での指導助言
  • 養護教諭や学級担任による個別指導や、健康相談への指導・助言
  • 「食」教育の支援
  • スポーツ歯科医学を通じた学校安全への参画

現在の学校歯科保健では、疾病重視の保健管理ではなく、歯・口の健康づくりを土台とした、正しい生活習慣の確立を目指しています。また、生涯を通して「生きる力」を育む、保健教育も行ってまいります。