医院ブログ

2024.11.12更新


歯の構造とむし歯
 むし歯は歯の表面が溶けて、穴ができる病気です。一度穴があいてしまうと、二度と元の状態には戻りません。
〈歯の構造〉:外側から以下のようになっています
エナメル質 : 歯冠部の表面の最も硬い部分。
象牙質 : 歯の形を作っている歯髄を取り囲んでいる部分。
セメント質 : 歯根の表面を取り囲んでいる部分。
歯髄 : 歯の中心部にある組織で、神経や血管が通っています。
〈むし歯の進行について〉
C1:エナメル質が溶かされ、歯の表面に灰色や黒褐色の斑点ができる。
C2:象牙質まで達し、冷たいものがしみたり、甘いものを食べると痛む事がある。
C3:神経まで達し、何もしなくとも痛む事がある。
C4:根だけになり、ウミがたまり口臭がひどくなる。
治療回数の目安
むし歯は見た目が小さくても、中で広がります!
むし歯は表面の固いエナメル質から、中側にある柔らかい象牙質まで達すると急に広がって大きくなり、治療回数が変わってきます。当然大きなむし歯ほど治療回数がかかってきます。
むし歯の大きさによる治療回数の目安を順に紹介します。
1枚目の写真はC1~C2です。前歯のわきにむし歯ができています。穴が開きかけていて、表面は茶色の色をしています。
2枚目の写真はC2です。奥の歯に黒い穴があります。白い材料を詰めた後に、周りからむし歯になりました。
3枚目の写真はC3です。かなり進行したむし歯です。歯と歯の間が大きな穴になっています。歯の表面には、ねばねばしたようなものが付いていますね。歯肉も赤く腫れていす。
4枚目の写真はC4です。上の方の歯が無くなって、根だけがのこっています。表面は黒くなっています。このようになると歯を抜くようになる可能性も出てきます。

【1回の治療】歯と歯の間が変色していますね。この大きさならコンポジットレジンと呼ばれる充填物を1回の治療でできます。しかも歯と同じ色で分からなく保険で簡単になおります。


【2回の治療】奥歯のむし歯です。一度樹脂を詰めていますが、かけて大きくなっています。かみ合わせのきつい方は金属で修復した方が良いでしょう。
型を取って2回で治ります。

 

【4~5回の治療】痛みが強く出ていました。神経に達するむし歯です。神経を取ったあとに、防腐剤のお薬を詰めてからかぶせます。治療回数は4~5回ほどかかります。

 


【5~6回の治療】歯根までむし歯になったケースです。何とか抜歯にはならずに保存しました。治療回数は5~6回を目安になります。さらに手遅れのケースは回数がかかります。

どうしてむし歯になるのだろう?
むし歯の成因には、プラークとそれが作り出す酸が関わっています。
・歯の表面には、いろいろな細菌が住んでいます。その塊をプラークと言います。
・プラークの中のミュータンスなどのむし歯菌が、糖分を栄養にして「酸」をつくりだします。
・そのような状態が長くつづくと、硬い歯の表面が「酸」によって溶け穴になっていきます。この歯に穴ができた状態をむし歯と言います。

*プラークとは、歯に付いた食べかすと思われがちですが、実際は、むし歯菌や歯周病菌のかたまりです。プラーク1mg に1億以上の細菌がいると言われています。
ネバネバしていてぶくぶくうがいでは取れません。歯ブラシをしっかりあてて除去しましょう。


歯の表面に付着したプラークを観察してみましょう。
・歯と歯の間や、歯と歯肉の間を歯科医院で使う短針でなぞってみると、器具の先端に、何か白いものが採れました。
・これを「染めだし液」で染めてみると歯と歯の間や、歯と歯肉の間が、赤く染まっています。口をゆすいだくらいでは取れません。


この染まったものが、ネバネバのプラーク(ばい菌のかたまり)なのです。
プラークを顕微鏡で見てみよう

 顕微鏡でプラークの様子を見てみると、多くの細菌が観察されます。しかも細菌はお口のなかで元気に活動しています。
 糸状菌・球菌・桿菌・スピロヘータなど多くの種類の細菌がいます。
 この中に、むし歯の原因菌であるミュータンス菌もいます。
むし歯ができる原因とその対策についてのまとめです。
4つの原因
歯みがきをしない、またはしっかり磨けていないなどでプラークが貯まったままだと、歯が溶けてむし歯ができていきます。
 永久歯をなくしたら、もう二度と生えてきません。歯は身体の一つの臓器です。かけがえの無いものです。一生大切にしてくださいね。
 ・細菌(プラーク)
 むし歯は、ミュータンス菌と呼ばれる細菌が主因となって発生します。その対策は、歯みがきです。ていねいにしっかりプラークコントロールできるようになりましょう。
・歯の強さ、つばの量や質
歯の質や、噛む面の溝の形態などが関係します。よく噛んで唾液を一杯出す事は、むし歯の予防につながります。また、フッ化物配合歯みがき剤などのフッ化物の利用も効果があるでしょう。
・間食(炭水化物、砂糖)
 炭水化物、特に砂糖などは「プラークを作る材料になる」「細菌が酸を作る材料になる」などの原因をつくります。
 特に子供には間食のとり方、食べ物などには注意が必要です。甘いものを与えるときには、だらだらと食べず、飲み物はお茶や水にするなど食べ合わせも考えましょう。
・時間
 寝る前に甘いものを食べそのまま寝ると、唾液の分泌も少なくなるため、むし歯ができやすくなります。歯をみがいた後は飲食しないようにしましょう。
5つの対策:むし歯にならないように自分でできること
むし歯にしないために自分でできることのまとめです。できるものから実行しましょう。
・歯みがきは寝る前にていねいに時間をかけてやりましょう。 歯と歯の間、歯と歯肉の間、奥歯の溝を良くみがきましょう。歯と歯の間は、デンタルフロスが有効です。
 フッ化物配合歯みがき剤の使用も有効です。うがいは1回程度、何回もやらないようにしましょう。
・子供にはお菓子や飲み物は、一日に食べる回数を決めてだらだらと長時間食べないようにしましょう。甘いお菓子とお茶など食べ合わせを考えましょう。
・緑茶や紅茶には、プラークを弱らせるポリフェノールが含まれています。砂糖を入れずに飲みましょう。
・規則正しい生活が大切です。よい生活リズムを身につけましょう。
・よく噛むことで、唾液が出て、消化を助け、飲みこみをしやすくします。また、唾液には、むし歯予防効果もあります。

投稿者: またほ歯科